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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)1741号 判決

控訴人 株式会社国民相互銀行

被控訴人 光興産業株式会社

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

本件につき東京高等裁判所が昭和三九年八月一九日にした同年(ウ)第八一五号強制執行停止決定はこれを取り消す。

前項に限り仮に執行することができる。

事実

控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人から訴外医療法人社団外塚病院に対する東京地方裁判所昭和三六年(ワ)第八、六七六号建物収去土地明渡請求事件につき昭和三七年三月二日成立した認諾調書に基づく原判決添付物件目録記載の不動産に対する建物収去土地明渡の強制執行はこれを許さない。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文第一項と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の提出、援用及び認否は、次のとおり付加するほか、原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。

(一)  控訴代理人は、債権者代位権に基づき訴外医療法人社団外塚病院(以下「訴外病院」という)に代位して主張する請求異議の理由として、原審において主張したところに付加して、次のように述べた。

「仮に原審で主張した請求異議の理由が認められないとしても、左記のように被控訴人は本件債務名義の成立後本件土地(原判決添付物件目録(一)記載の宅地七三二坪二合八勺の全体をいう。以下同じ。)の所有権を喪失したから、訴外病院に対し、本件建物(同目録(二)記載の家屋番号一九六番の三一の建物をいう。以下同じ。)を収去して同目録(一)記載の土地部分を明け渡すべきことを求めることはできない。すなはち、

(1)  訴外病院と被控訴人との間に昭和三三年三月一七日成立した渋谷簡易裁判所同年(ハ)第四六七号事件の和解条項の第三ないし第五項において、左記の取り極めがなされた。

第三項 訴外病院は被控訴人に対し金三一四一万七千円の債務を負坦することを確認し、右債務の履行として昭和三五年七月から完済に至るまで毎年七月金一〇〇万円、一一月金一〇〇万円、三月金一一四万一七〇〇円を各月末限り持参して支払うこと(ただし無利息とする)。

第四項 訴外病院が前項の債務を完済した後二年以内に被控訴人に対し金四七〇万円を支払つたときは、被控訴人は訴外病院に対し本件土地及び同地上の家屋番号一九六番の二〇の建物の所有権を移転すること。

第五項 訴外病院が第三項の割賦金の支払いを怠りその額が四回分に達したときは、期限の利益を失い、債務残額を一時に支払うべきこと。

(2)  右和解条項の解釈として、訴外病院が第三項の割賦金の支払いを四回分怠つたときは、第五項に従い第三項所定の債務の全額を一時に弁済すべきこととなるに止まり、これにより直ちに第四項所定の所有権移転請求権を喪失するものではなく、その時から二年以内であれば右請求権を行使しうるものと解すべきである。

訴外病院は、昭和三六年一二月七日に同年七月分及び一一月分の右割賦金の支払いの猶予を受けたが、仮りにその事実が認められず、昭和三五年七月分(初回分)から昭和三六年七月分までの四回分の支払いを怠つたため昭和三六年八月一日には第三項所定の債務の全額を一時に支払うべきこととなつたとしても、右解釈によると、その日から二年以内に第四項の金四七〇万円を支払えば本件土地及び前記建物の所有権を取得しうることとなる。

(3)  そこで訴外病院は被控訴人に対し、昭和三八年七月一九日到達の内容証明郵便をもつて右金額を同月二六日午前九時から一〇時までの間に東京法務局世田谷出張所(同時覆行の関係にある被控訴人の登記義務の履行されるべき場所)において支払う旨通知した上、右日時に右場所へ右金額の現金を持参し弁済の提供をしたが、被控訴人は来所しなかつた。

(4)  右弁済の提供により、訴外病院は本件土地の所有権を-前記建物の所有権とともに-取得し、被控訴人はこれを喪失したものである。

(二)  被控訴代理人は控訴人の右(一)の主張に対し次のように述べた。

「(1) の事実は認める。

(2) の解釈は争う。被控訴人は訴外病院に対し、右和解条項第三項所定の割賦金の支払いを控訴人主張のように猶予した事実はなく、訴外病院は昭和三五年七月分(初回分)から昭和三六年七月分までの四回分の右割賦金の支払いを怠つたから、期限の利益を失い、同項所定の債務の全額金三一四一万七千円だけでなく第四項所定の金四七〇万円をも一時に支払わなければならなくなつたものと解すべきである。そして被控訴人は訴外病院に対し昭和三六年八月一一日到達の内容証明郵便により右金三一四一万七千円を同月一五日までに支払うよう催告し、履行なきときは右和解条項による土地及び建物の所有権移転義務を負わない旨を通知した。従つて、訴外病院が期限の利益を喪失した日から約二年も経過した昭和三八年七月に控訴人主張の金額を提供したとしても、法律的意味はなく、訴外病院は本件土地及び前記建物の所有権を取得すべきいわれはない。

なお、訴外病院は、昭和三七年八月被控訴人に対し、控訴人の右主張と同様の理由で本件土地の所有権確認ならびに移転登記手続を求める訴を提起し(東京地方裁判所同年(ハ)第六五一五号)、また、本件土地につき仮登記仮処分をなしてきたので、被控訴人は訴外病院に対し右仮登記の抹消登記手続請求の訴を提起し(同庁昭和三八年(ワ)第六八二九号事件)、右両事件は併合審理されたが、昭和三八年一二月一四日の準備手続期日において訴外病院は自らの請求を放棄し、被控訴人の請求を認諾し、ここに右両事件は確定した。訴外病院はその後右請求の放棄及び認諾が無効であるとの理由で同裁判所に期日指定の申立をしたが却下された。」

(三)  証拠〈省略〉

理由

一、被控訴人と訴外病院との間に控訴人主張の債務名義が存在することは当事者間に争いがない。

二、控訴人の債権者代位権に基づく請求異議の主張について

(一)  成立に争いのない甲第二号証の一、二、第三ないし第一一号証、原審証人井出正三の証言によると、控訴人は訴外病院に対しその主張のような債権を有することが認められる。そして、本件建物が訴外病院の唯一の財産である(この事件で所有権の帰属が争われている本件土地は別として)ことは、当事者間に争いがない。

(二)  そこで、控訴人主張の請求異議理由について判断する(ただし当審で新たに主張したものについては後記(三)で説示する)。

本件債務名義は請求認諾調書であるところ、控訴人の主張によれば、(い)右認諾は訴外病院が被控訴人と通謀してなした虚偽の意思表示であり、(ろ)そうでないとしても、訴外病院は被控訴人の詐欺により右認諾をし、また、右詐欺の結果要素の錯誤に陥り右認諾をしたのであり、(は)そうでないとしても、被控訴人の本件建物の収去請求は権利の濫用であつて、そのような請求を肯認した右認諾は、内容的にも、また、その成立過程からみても、公序良俗に違反するものであり、(に)訴外病院は被控訴人に対し、右の各理由により、右認諾の成立の基礎をなす借地権の放棄を取り消す旨の意思表示をしたから、右認諾は無効であるというのである。

(1)  まず、請求認諾調書は民訴法二〇三条により確定判決と同一の効力を有すると規定されているので、控訴人主張の右のような理由によりその有効性を争うことができるかどうかは、問題である。右規定を文字どおりに解するならば、認諾調書に対しては、確定判決についての再審事由に相当する事由の存する場合に再審の訴に準じた独立の訴によりその取消を求めうるに止まり、右のほかにはその無効を主張することはできないこととなる。しかしながら、裁判所の和解については、右二〇三条において――請求の認諾及び放棄と並んで――これを調書に記載したときは確定判決と同一の効力を有すると規定されているにもかかわらず、判例は右のような解釈を採らず、私法上の無効・取消原因によるその無効・取消の主張を許容し、その主張は独立の訴によつてなすことを要しないものとしている(大審院昭和六年四月二二日決定・民集一〇巻三八〇頁、同昭和一四年八月一二日判決・民集一八巻九〇三頁等参照)。そして判例がこのような解釈を採るのは、裁判上の和解は当事者双方が互いに譲歩して訴訟物たる権利関係に関し協定を成立させ、そのように当事者の意思により紛争の解決がもたらされるものであつて、裁判所の公権的判断たる確定判決とは著しくその性質を異にする点に着目し、これを確定判決と全く同視して確定判決につき定められた再審事由に基づく再審の訴によるほかその無効の主張を許さないとすることは甚だしく妥当性を欠く――とりわけ瑕疵ある意思表示をなした当事者の救済が不充分である――と考えたことによるものと解される。してみると、請求の認諾及び放棄は、被告が原告の請求を肯定する陳述をなし又は原告が自らその請求を否定する陳述をなし、その結果訴訟物についての主張の不一致が解消されるに至るものであつて、その点は裁判上の和解と異なるが、そのように当事者の意思により紛争の解決がもたらされる点は裁判上の和解と同様であり、従つて右判例の趣旨は請求の認諾及び放棄についても類推適用されるべきものと考えられる。もつともこれに対しては、裁判上の和解は訴訟行為たる性質と私法上の行為たる性質を兼ね備え、あるいはそれらの行為が併存するものである(従つてその私法行為の無効・取消が裁判上の和解の無効・取消をもたらす)のに対し、請求の認諾・放棄は純然たる訴訟行為であるという理由から、右の類推を不当とする見解も考えられないではない。しかしながら、両者は当事者の意思により訴訟の対象たる紛争の解決がもたさられるものである点において共通性を有すること前示のとおりであり、また、その解決の内容が以後当事者間における具体的規律としてできる限り尊重されるべきものである点も両者に共通するところであるから、その無効・取消の主張の許容性について両者に異なる規整を加えるべき根拠とはなし難い。

(2)  そこで、本件認諾に控訴人の主張するような無効・取消の事由が存するかどうかについて考える。

成立に争いのない甲第一二ないし第一八、第二八、第四二号証、原審及び当審証人外塚泰久の証言(ただし後記信用しない部分を除く)、原審における被控訴人代表者本人の供述によると、本件認諾がなされるに至つた経緯は次のとおりであることが認められる。

「本件土地はもと訴外病院の所有であつたところ、昭和三二年二月被控訴人が同病院に対する債権の代物弁済としてその所有権を取得したものとして、同月その登記を経由したところ、訴外病院から被控訴人に対し渋谷簡易裁判所昭和三二年(ユ)第七七号の調停の申立がなされ、同年四月二六日に成立した調停において、訴外病院は本件土地が被控訴人の所有であることを確認し、被控訴人から本件建物の敷地部分である原判決添付物件目録(一)の土地部分を本件土地の他の部分に存した家屋番号一九六番の二〇の建物とともに一か月の賃料三五万円・毎月末日払いの約定で賃借し、右賃料を三か月分以上遅滞したときは被控訴人において催告を要せず右賃貸借を解除しうるものと定めた。右賃料額は同裁判所で昭和三三年三月一七日右両者間に成立した和解により、同年四月分以降金一五万円に減額された。その後被控訴人は、訴外病院が昭和三五年九月分以降七か月分以上引き続いて右賃料を支払わないため昭和三六年三月右賃貸借を解除したことを理由として、同病院に対し本件建物の収去及び右土地部分の明け渡しを求める訴を提起し(東京地方裁判所昭和三六年(ワ)第八六七六号)、本件認諾は右請求に対してなされたものである。

ところで、訴外病院は右訴を提起される前から、本件土地を他に売却しその代金により前記代物弁済に係る被控訴人に対する債務を精算するとともに同病院の他の債務をも弁済するという希望を有しており、その旨をしばしば被控訴人に申し入れたが、被控訴人の容れるところとならず、右訴が提起された後である昭和三六年一二月七日に「被控訴人所有の本件土地につき訴外病院においても向う六か月間に限りその買受人を推せんする」ことについて被控訴人の承認を得たに止まつた。そして、被控訴人は訴外病院に対し、右訴訟における被控訴人の主張について同病院に言い分があるなら訴訟で主張するよう申し述べるとともに、右訴訟において同病院が抗争する限り一切の話し合いに応じないとの強硬な態度を示したので、訴外病院は被控訴人の請求を認諾して右訴訟を終結させるのが同病院にとつても得策であると考え、本件認諾をなすに至つたものである。」

原審証人井出正三、原審及び当審証人外塚泰久の証言中右認定に反する部分は、前掲各証拠に照らして信用し難く、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

控訴人は、本件認諾は訴外病院が被控訴人と通謀し、控訴人の根抵当権を覆えすためにした虚偽の意思表示であると主張する。控訴人が本件建物につき昭和三二年二月九日に設定登記を経た根抵当権を有することは、成立に争いのない甲第一三号証により認められるところである。しかしながら、訴外病院が本件認諾をなすに至つた経緯は前認定のとおりであつて、本件全証拠によるも本件認諾が通謀による虚偽の意思表示であるとの事実を認めることはできない。

控訴人は、また、被控訴人は訴外病院に対し「本件建物の収去請求を認諾すれば、同病院の控訴人に対する債務を代わつて弁済してやる」と嘘の申出をして、本件認諾をさせたものであると主張するが、前掲外塚証人の証言は右主張に沿うものではなく、他に右主張事実を認めるに足りる証拠はない。

控訴人は、また、被控訴人は訴外病院に対し「訴外病院が前記和解で定められた賃料を延滞した」と嘘をいい、同病院をそのように誤信させて本件認諾をさせたものであると主張する。本件認諾に係る被控訴人の請求が訴外病院の右賃料の延滞による賃貸借の解除を理由とするものであることは前示のとおりであり、前掲外塚証人の証言中には被控訴人が右訴訟で主張した賃料の延滞はなかつた旨の供述部分が存するが、右供述部分は成立に争いのない乙第三号証、前掲井出証人の証言に照らして信用し難く、他に右賃料の延滞がなかつたことを認めるに足りる証拠はない。従つて、被控訴人が嘘をいつて訴外病院を誤信させたとの事実は認められず、控訴人の右主張は採用することができない。

更に、控訴人の権利濫用及び公序良俗違反の主張については、本件認諾が二回の口頭弁論を経たのみでなされたこと、本件建物が訴外病院の唯一の財産であることは被控訴人の認めるところであり、右認諾が法律的素養の充分でない同病院代表者自身によりなされたことは前掲甲第一六号証及び本件弁論の全趣旨により認めうるところであるが、それらの点を考慮しても、前に認定した被控訴人の本件土地明渡請求の理由及び本件認諾がなされるに至つた経緯に徴すると、右請求が権利濫用であるとか、本件認諾が公序良俗に違反するということはできない。控訴人の主張する延滞賃料額と本件建物の価額との不均衡という点も、右の判断を左右するものではない。

以上に説示したとおり、本件認諾に控訴人の主張するような無効・取消原因が存するとは認め難い。

(三)  次に、控訴人が当審で新たに主張した請求異議理由、すなわち被控訴人は本件債務名義成立後に本件土地の所有権を喪失したとの点について判断する。

訴外病院と被控訴人との間に昭和三三年三月一七日控訴人主張の各条項を含む裁判上の和解が成立したことは、当事者間に争いがない。そして、右和解の各条項を彼此対照して判断すれば、右和解条項の第四項は、訴外病院が第三項の割賦金の支払いを約定どおり履行し同項の債務を完済したときは、その後二年以内に金四七〇万円を支払つて本件土地等の所有権を取得しうべきことを定めたものと解すべきであつて、右割賦金の支払いを遅滞しても第五項により期限の利益を喪失するに至らない場合にはなお右の所有権取得権を失わない趣旨であると解する余地があるとしても、控訴人主張のように、第五項により期限の利益を喪失した場合でもその後二年以内に右の所有権取得権を行使しうるものとする趣旨であるとは解し難い。

控訴人は、訴外病院が右割賦金の支払いの猶予を受けたと主張するが、これを認めるに足りる証拠はなく、また、本件全証拠によるも同病院が初回分以降の右割賦金の支払いをした事実を認めることはできないから、第四回目の右割賦金の支払いをなすべき昭和三六年七月末日の経過とともに、同病院は前記和解条項の第五項により期限の利益を喪失し、その結果第四項の所有権取得権を失つたものというべきである。また、仮に右期限の利益の喪失により当然に所有権取得権が失われるものではないとしても、成立に争いのない乙第二二号証の一、二によれば被控訴人は訴外病院に対し昭和三六年八月一一日到達の書面により第三項の債務の全額を同月一五日までに支払うよう催告し、履行なきときは第四項による所有権移転義務を負わない旨を通知したことが認められ、同病院が右催告に応じたことの主張・立証はないから、遅くとも昭和三六年八月一五日の経過とともに同病院は前記の所有権取得権を失つたものというべきである。

してみると、訴外病院がその約二年後である昭和三八年七月になお前記の所有権取得権を有したことを前提とする控訴人の主張は、その余の点について判断するまでもなく失当といわなければならない。

(四)  従つて控訴人主張の請求異議の理由はいずれも認めることができない。

三、控訴人主張の第三者異議の主張について

被控訴人が昭和三七年三月二七日本件債務名義に基づき本件建物の収去命令を申請し、同命令が発せられたことは、当事者間に争いがない。そして、控訴人が本件建物につき抵当権を有し、その登記を経ていることは、前示のとおりである。

ところで一般的には、抵当権は目的物を換価してその代金から優先弁済を受ける権利であつて、その物を占有すべき権能を伴うものではないから、民訴法五四九条一項にいう「目的物の譲渡又は引渡を妨げる権利」に該当せず、従つてこれに基づき同条の訴(第三者異議の訴)を提起することは許されないものというべきである。しかし、本件のように建物収去土地明渡の強制執行が行なわれようとしている場合においては、その執行により目的たる建物が滅失し抵当権が消滅するに至るべきことは明らかであるから、抵当権が占有権能を伴うものでないというだけの理由からすべての場合にこれに基づく第三者異議の訴を認めないことは不当であつて、その建物収去土地明渡の強制執行が実体上抵当権に対する違法な侵害とみられるときは、抵当権者は右の訴を提起してその執行を阻止することができると解すべきである。

しかしながら、本件認諾がなされるに至つた経緯、並びに控訴人主張のように被控訴人が訴外病院と通謀し又は同病院を欺罔して本件認諾をさせたとの事実が認められないことは、前記二(二)(2) において説示したとおりであつて、本件認諾調書に基づく建物収去土地明渡の強制執行が実体上控訴人の抵当権に対する違法な侵害であるということはできない。従つて、控訴人の第三者異議の主張は理由がない。

四、してみると、控訴人の本訴請求はいずれも失当として棄却すべきである。

よつて、右と同趣旨の原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから民訴法三八四条一項に従いこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法九五条、八九条を、強制執行停止決定の取消及びその仮執行宣言につき同法五四八条一項、二項、五四九条四項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 三淵乾太郎 伊藤顕信 村岡二郎)

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